初期臨床研修~手術室での麻酔・全身管理~

初期研修

現在、金沢大学医学部附属病院の初期研修プログラムでは「麻酔・救急」の必修期間3ヶ月の中で 麻酔の研修を 1ヶ月または2ヶ月間、各自が選択します。この1ヶ月または2ヶ月の短期間に 手術麻酔に必要な基本手技(1:末梢静脈路確保 2:マスクによる換気 3:気管挿管 4:脊髄くも膜下麻酔)を習得します。

末梢静脈路確保は、麻酔導入には必ず必要であり、毎回トレーニングすることができます。
気道確保は、初期研修において非常に重要ですが定期手術の全身麻酔下でのマスク換気や気管挿管は、絶飲食が守られ、筋弛緩を得られた最良の状態で行なうことができます。この最良の状態でできるだけ多くのと気管挿管を経験することは、本番の緊急時にも 慌てないで対応できることにつながることでしょう。
脊髄くも膜下麻酔は、髄液採取にも応用できる手技であり、合併症を知った上で安全に施行する方法を身につけることは,将来どの道に進むにしても重要です。
以上のような基本手技は、必ず指導医の下で行なわれ、手技を行なう際のちょっとしたコツなどのアドバイスを受けることができます。これらの手技をできるだけたくさん行ない、早く上達したいと考えられる方は、麻酔を2ヶ月間選択されることをお勧めします。

バッグアンドマスクによる気道確保と陽圧換気は、ぜひ身につけていただきたいと思います。

初期臨床研修~緩和ケア・ペインクリニック~

緩和ケアを学ぶことの重要性

当院の緩和ケアチームは、山田圭輔先生を中心に麻酔科医、精神科医、緩和ケアナース、薬剤師さん、ソーシャルワーカーさんなどがひとつになって診療にあたっています..

皆さんがこの先、内科系であれ外科系であれ、いずれの科に進むことになろうとも、癌を診ない科はないと言っても過言ではありません.医師として働くいじょう、悪性腫瘍は避けて通ることはできないでしょう.
そして、癌治療を行うなかで、誰もが一度は疼痛管理に頭を悩ますのです.その悩みは、患者さん自体の悩みであり苦痛でもあります.

「痛みをとりのぞく」ことはまさに「医の原点」とも言えるかもしれませんが、日本はまだまだ医療用麻薬の使用量も欧米に比べて少なく、癌性疼痛治療に関して日本はまだまだ後進国であると言われています。
 医療用麻薬(モルヒネやフェンタニルなどの強オピオイド)は、手術中に麻酔科医が毎日当然のように使用している薬剤であり、緩和ケア領域においても絶大な効果を発揮してくれる薬剤です。

 研修医の皆さんには、ぜひ手術麻酔以外での医療用麻薬の使用法や副作用対策を身につけていただきたいと思っています.(ぜひ研修医の間に、医療用麻薬への間違った偏見や、敷居を取り除いてしまいましょう)
 また、患者さんとの対話や日々の回診を通じて、「癌と戦う」ということ、「死を考える」ということ、また「終末期の患者さんを診る」ということを、じっくり時間をかけて考えていただきたいと思います。

~研修の実際~

緩和ケアチームでの研修は、2週間を1クールとして選択していただくことができます。
(もちろん、1ヶ月、2ヶ月と選択することも可能ですし、大歓迎です)

毎日午前、午後と一回ずつ病棟回診を行います。

一日の始まりは、麻酔科医局です。まず、電子カルテ上で全ての患者さんの様子(主に夜間の様子)をチェックします。その後、全員で回診を行います。

緩和ケアチームでは、各科主治医の先生からご相談があった症例や、機械式のPCAポンプを必要とする患者さんを主に診察しています。(常時に20ー30名くらいの患者さんが、リストに並びます)
緩和ケアを必要とする患者さんは、どの病棟にもおられますので、10階から2階まで、1フロアずつ回診を行います(思いのほか一日の歩行距離が長いで、とても健康的です)。
一人一人の患者さんの話しを聞き、薬剤の調整や副作用の評価を行います。

午前の回診後には、回診をした患者さんのカルテ入力を行ったり、外来を受診される患者さんの診療を行います。(これら仕事が全部終わるころには、お昼過ぎになっています)

午後は、機械式PCAポンプの薬剤補充を行ったり、他科から依頼がある場合には、透視室で中心静脈カテーテルの留置を行ったりしています。また、外来で神経ブロックを行うこともあります。

一日の最後に、もう一度病棟の回診を行い、一日の診療は終了です。

麻酔科専門コース 定員 2名/1年

金沢大学附属病院の初期研修プログラムの中には、将来の進路に麻酔を選ぶことを決めておられる方を対象に麻酔科専門コースが用意されております。経済的に優遇されるのどのメリットはありませんが、私達スタッフとしては初期研修時代から後期研修と同様なレベルの手技まで指導、習得していただけるようなカリキュラムを組んでおります。1日も早く一人前の麻酔科医として独り立ちしたいという方は、ぜひ専門コースを選択してください。

金沢大学附属病院研修医・専門医総合教育センター初期臨床研修部門HP