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患者さんへ

当院で手術を受ける患者さんへ

患者さんへ

麻酔とはどのようなものなのか不安な方も多いと思います。そこで患者さんの不安を少しでも解消できれば考え、当院ではパンフレットを作成しております。その内容をこちらでも紹介いたします。

  1. 麻酔と麻酔科医

     病気や怪我を治すために手術を受けることは誰にでもおこりうることですが、誰しも「痛みを感じずに、怖い思いもすることなしに治してほしい」と思うものです。

     そこで私たち麻酔科医が登場します。

     私たち麻酔科医の第一の仕事は、手術による痛みや恐怖から患者さんを守ることです。そのために様々な薬剤を使って、患者さんの意識をなくし、痛みをとります

     第二の仕事はなにか異常が起こらないかどうか見張ることです。手術中の患者さんは意識がないため異常事態がおきても自ら訴えることはできません。
     そこで麻酔科医は患者さんのそばにいて、脈拍、血圧、呼吸などを観察します。また、全身の機能を調節するために、麻酔科医は手術中、薬剤を使って血圧や心臓の動きをコントロールし、必要な水分の補給をしたり輸血をしたり、人工呼吸や体温の調節を行っています。

  2. 手術前の飲食制限

     麻酔の時、胃の入り口の力が抜けて吐いてしまうことがあります。胃の中に飲食物が残っていると、吐いた食べ物が肺の方へ入り、窒息や重症の肺炎(誤嚥性肺炎といいます)をおこしてしまうことがあります。これは生命にかかわる危険なことです。これを防ぐため、麻酔の前には飲食を制限しますので必ず守ってください。成人では6時間の絶食を一つの目安としています。
     普段飲んでいるお薬のうち、必要なものは当日にも服用していただきますが、この際はなるべく少量の水でお飲みください。

  3. 麻酔科医にお知らせください

    1. 心臓、肝臓、腎臓などに持病をお持ちの場合
    2. 現在、常用している薬がある場合
    3. 喘息の既往がある場合
    4. アレルギー体質や特異体質の場合
    5. 最近予防接種をうけた場合
    6. 血縁者に麻酔時の異常があった場合(特に手術中あるいは直後に40℃以上の高熱を出した)
    7. 妊娠の可能性がある場合
    8. ぐらついている歯や入れ歯がある場合

    このような方はお知らせください

  4. 麻酔を始める前の準備

    手術台に移動したら、まず心電図や血圧計など、患者さんの状態を監視するためのいろいろな機器をつけます。
    次に点滴をはじめます。この点滴は、病棟からはじめる場合もあります。心電図を確認し、血圧を測って患者さんの状態をチェックしてから麻酔を開始します。

  5. 全身麻酔の開始

     まず、酸素のマスクを顔にあてます。普通、全身麻酔は点滴から麻酔薬を入れて始めます。麻酔薬の点滴を始めると、数十秒で意識がなくなります。
     全身麻酔では、人工呼吸用の管を口から気管まで入れます。これは、完全に意識がなくなってから行いますので、患者さんに苦痛はありません。しかし、管を入れるとき,まれに歯が欠けたり、折れたりすることがあります。そうならないように最大限の注意をします。その後は先に入れた人工呼吸用の管を通してガスの麻酔薬を投与して麻酔を維持します。
     また、手術の種類や患者さんの状態に応じて、動脈(手首の脈を触れるところ)に血圧を測るための細い管を入れることや、首から心臓の中まで点滴のチューブを入れることもあります。
     術後の痛みが強い手術では、硬膜外麻酔を併用します。この場合、全身麻酔をかける前に背中から注射をします。硬膜外麻酔に関しては、局所麻酔の硬膜外麻酔をお読みください

  6. 小児麻酔

    一般的に子供の麻酔をはじめる時には、鼻と口をおおうようにマスクをあてて意識がなくなるまでガスの麻酔薬を吸入させます。この方法では、麻酔科医は「マスクを口に近づけるよ、ゆっくり息をしてね。」などといって麻酔薬の吸入を促します。注射など、体に針を刺したりする行為はすべてお子さんがしっかりと眠ってから行われます。
     別の方法として、大人と同様に点滴から麻酔薬を注入することもあります。その場合には、急速に意識がなくなります。
     どちらの方法であなたのお子さんの麻酔を始めるかについては、様々な要因を考慮して麻酔科医が決めます。
     なお、お子さんが不安を感じないように、手術室に入る前に眠くなるお薬を使うことがあります。シロップ、錠剤、坐薬、注射などがあり、どのお薬を使うかは術前診察時にご相談します。

  7. 麻酔からの覚醒

     手術が終わったらガスの麻酔薬を止めます。それからしばらくすると麻酔のガスが体から抜けて意識が戻ってきます。
     自分で十分に息ができるようになったら、口に入っている人工呼吸用の管を抜きます。このときにも、患者さんが無意識に歯を食いしばるため歯が折れることがあります。この管を抜いたあとは、大きな息をしてください。管を抜いた後はタンが出ることがあります。大きな咳をして、口からタンを出してください。このとき喉がはれて声がかすれたり、痛くなったりすることがありますが、通常2~3日で軽快します。
     全身の状態が安定していることを確かめて、病棟や集中治療室に移っていただきます。

  8. 局所麻酔

    1. 脊髄くも膜下麻酔

       いわゆる下半身麻酔です。脊髄が入っている袋の中に局所麻酔薬を入れて手術する部位の痛みをとる方法です。
       脊髄くも膜下麻酔の場合は、横をむいて寝ていただき背中から麻酔薬を入れます。注入しているときから足やお尻がしびれてきて仰向けになって5分もすると両足ともしびれて動きにくくなります。15分くらいで手術ができるくらいに麻酔が効いてきます。なおこの麻酔のあとに頭痛を起こしたり、出血や神経を傷めるといった危険性もわずかにあります。また、血を固まりにくくする薬を飲んでいる方、背骨の病気や手術歴がある方は、この麻酔ができない場合もあります。

    2. 硬膜外麻酔

       硬膜外麻酔では、脊髄が入っている硬膜という袋の外側に細くてやわらかい管を入れ、ここから麻酔薬を投与します。手順は脊髄くも膜下麻酔と同様ですが、効果はゆるやかです。
       硬膜外麻酔では、麻酔の強さや効いている時間を麻酔科医が調節することができるので、手術を行うために使うだけでなく、手術後の痛みのコントロールにも大変有用です。そこで、全身麻酔に併用して.手術が終わった後意識を取り戻しても遺体がない状態にするために用いられます。
       術後の痛み止めの副作用として、悪心、嘔吐、かゆみがあります。なお管を入れる際に、出血や神経を傷めるといった危険性がわずかにあります。また、血を固まりにくくする薬を飲んでいる方、背骨の病気や手術歴がある方は、この麻酔ができない場合もあります。

    3. 腕神経叢ブロック

       腕や手の手術ではわきの下や首のところに局所麻酔薬を注射することによって上肢だけの麻酔を行う場合もあります。

麻酔の危険性

麻酔および麻酔科医の役割は患者さんを守ることです。しかし、よく患者さんに「麻酔は怖い」といわれることがあります。麻酔が原因となる死亡率は10万例に1例といわれていますが、さらに麻酔を安全にするために、私たち麻酔科医は日々努力を怠らずに精進しています。
 患者さんが安全で、痛みなく、穏やかに手術および麻酔を受けられることが、私たち麻酔科医の使命であると考えます。

附記

 当病院は研修指定病院であり、麻酔科の診療には麻酔科蘇生科研修医師が加わる場合があります。ただい、すべての研修医は麻酔専門医の指導のもとに研修しております。ご了承くださいますようお願い申し上げます。
 私たちは絶えず患者さんの幸せと共に、医療の安全性の向上を願っています。そのために、麻酔中に得られた患者さんの血圧や心拍数などの生体情報をはじめとした貴重な医学的データを、研究会や学会あるいは論文で発表させていただくこともございます。もちろん患者さんのプライバシーは厳守いたします。
 また、学生教育、臨床治験にご協力をお願いすることがあります。臨床治験にご協力をお願いする場合は、別途説明させていただきます。学生教育につきましたは,指導教員の責任のもとで見学をお願いすることがあります。何卒ご協力をお願いいたします。ただし、拒否されましても、患者さんの診療に不利となるようなことは決してございません。